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和紙の魅力・特徴
和紙とは、「紙すき」と呼ばれる日本古来の製法でつくられる紙のことです。紙すきの代表的な技法は、トロロアオイの根やノリウツギの内皮などから抽出した、透明の粘剤を紙料に混ぜる「流しずき」と呼ばれるものです。
流しずきの多くには簀(す)と桁(けた)という道具が使われ、桁を水平にして前後左右に細かく揺り動かしながら紙を漉いていきます。和紙作りは職人の熟練した技術で引き継がれている、日本を誇る伝統工芸の一つでもあります。
美濃和紙について
日本三大和紙(越前和紙・美濃和紙・土佐和紙)の一つに含まれるのが美濃和紙です。
美濃和紙は、岐阜県(美濃市)で主に生産される伝統的工芸品です。光を通すと美しい輝きを放つのが特徴です。
昭和44年(1969年)に国の重要無形文化財として選ばれているほか、昭和60年(1985年)に伝統工芸品に指定されています。
また、2014年にはユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産登録に岐阜県の「本美濃紙」が登録されました。
美濃和紙は古来から灯篭、うちわなど様々なものに使用され、岐阜の産業を支えています。他の和紙よりも薄くて丈夫であり、漉きムラが少ないという特徴から、「美濃和紙と言えば障子紙」と言われるほど、障子紙を担う存在として愛されてきました。
現在は障子のほか、傘やあぶらとり紙など、現代の技術で様々な機能を付加させた特殊紙等の分野で使用されています。
美濃和紙の歴史
平安時代
美濃紙は平安時代になると需要を急激に増加しました。その背景に仏教の興隆・普及によって、経文(きょうもん)や経典(きょうてん)の需要があったとされています。この紙の普及に伴い、全国各地から様々な紙が京都や奈良に送られましたが、美濃紙は都での評判が極めて高かったようです。このため京都の上層階層者たちは、縁故を頼って美濃紙を求めたと言われています。
美濃紙がもっとも多く京都に進出したのは応仁・文明(1486年~)の頃で、商工業が大いに発達するのと同じくして、美濃製紙業も急速な発達を遂げたものと考えられています。
美濃紙の中心は現在の美濃市及び周辺の地域で、市内大矢田に紙市がありました。
応仁3年、大矢田紙商人は、京都にある領主の宝慈院に対し、毎月6回紙荷の年貢を納入しています。
江戸時代から明治初期
江戸時代になっても美濃紙は受け継がれましたが、紙漉き業はみだりに免許されませんでした。
ですが、明治維新により制限がなくなり国内の紙需要は増大しました。
明治初年における美濃和紙の生産数量は、「美濃紙29萬束、23萬2千円」とあり、現美濃市の地域が紙生産の中心地であったことが分かります。このため、紙漉きを副業から正業に転ずる人も多く、紙漉き人口も増加しました。紙問屋は利益を増やすため、互いに競争を始めることになりました。
戦時中から戦後
江戸時代になっても美濃紙は受け継がれましたが、戦争が始まると日用品のほか、爆薬包装紙・航空機用パッキングなどの軍用品としても、紙は極めて多くの方面で使用されました。美濃紙もこれらを支えることとなりました。しかし、経済不況、濃尾震災(明治24年)、太平洋戦争による物資、労働力不足等が美濃和紙生産に大きく影響しました。紙需要の飛躍的増大に伴う機械抄きの導入、機械抄紙との競合は、大正時代末期から戦後にかけて登場した、石油化学製品(天幕用紙⇒ポリシート)の躍進を受け、紙業界に大きな影響を与えました。
業者多数を有し問屋支配型であった美濃紙産地は、大量消費が期待できる日用品素材を中心に生産しているため、機械抄きとの競合、石油化学製品の進出などの影響を受け、転廃業あるいは自ら機械抄きへの進出などにより、昭和30年代には1200戸あった生産者数が、昭和40年には500戸に激減しました。
その後減少を続け、昭和50年には100戸、昭和60年には40戸となりました。昭和58年、手漉き和紙の振興をはかるため、美濃手漉き和紙協同組合が設立されました。伝統技術に新しい改良を加え、その技法を後世に残すよう努力を続けています。昭和60年5月22日には、通産大臣から伝統工芸品に指定されました。
現在
2014年にユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録された美濃和紙ですが、現在では美濃和紙問わず、和紙職人の数が減り生産量が減少傾向にあります。そんな中、美濃和紙も時代の流れとともに新しい道を開いています。和紙を使った新しい製品の開発、医療現場での活用など、様々な分野で美濃和紙が活躍できるよう、職人は日々精進しています。
美濃和紙の活用例
美濃和紙は様々なところで使用され、
皆様の生活を支えています。
実際に美濃和紙を使用した商品や製品は
たくさんあります。
美濃和紙を代表する障子として
昔から愛されています。
障子・壁紙
活用例
皆様の生活に馴染みのある
日用品にも
実は和紙が使われています。
活用例
傘・あぶらとり紙・タオル・靴下・洋服 など
仕事や勉強などで使う機会がある
ステーショナリーでも、
和紙は活用されています。
便せん・封筒・ノート・折り紙 など
活用例